イエロー・リバー・カレッジ
 
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わたしたちは、根を張らない生き物たちである。人間は動物であるので当たり前と言われるかもしれないが、わたしたちはどこか一箇所に定着しない(もしくはできない)人間の集まりなのである。アート・建築・デザインとそれぞれの軸足を持ちながらも、いつも新しい刺激に巡り合うべくうねうねと動き回っている。そんな風に個々人がそれぞれ縦横無尽にあちこち走り回っているなか、このように一種の共同体として集合してしまったのは、必然だったと言わざるを得ない。発起人である福田を中心としてzoomを介して顔を合わせたわたしたちは、もしかしたら新しい景色へと到達することができるのかもしれない、と予感めいたものが脳裏に走った。まるで10年来の友人だったのかと錯覚するほど、これまで別々のフィールドでプレイしていたとは思えぬ思考の連携が成立してしまったのだ。それは細胞が活性化していくような快感だった。
わたしたちは移動を繰り返しなから、どこかで完結しない思考を求めていたのかもしれない。ひとりきりの脳みそで考えるものごとの範囲を飛び越えて、誰かの脳みそとシナプスを繋いでいくように、より広く、より深く、より遠くへ思考を飛ばし続けることを。一個体ではたどり着けないような景色を目にしたいという欲求を隠しきれない生き物たちだから。
動物的で本能的な生き物であるわたしたちだが、ある意味では植物のような側面を持ち合わせているようにも思う。個体維持に必要な重要器官をからだのあちこちに分散し、機能を共有しながら所持している植物のように、並んで繁る木々が根を共有してひとつの大きな森としてあるように、わたしたちはシナプスで繋がれたひとつの生態である、とも言えるかもしれない。
わたしたちはそれぞれが別個の意思をもった生き物である。同じ未来を描いているのかも、正直なところ定かではない。しかしいまここにある環境を面白がりながら、全力で、あるいは力づくで、あらゆる知識なアイディアを消化吸収しながら、土壌に栄養を与えながら、心地よい場所をつくりあげた いという貪欲さを、腹の底で共有しているのだろうと思う。
Who We Are
私たちYellow River Collegeは、安芸高田市にある空き家
改修計画を契機に2021年に結集した、アーティスト、デザイナー、建築家等によるアーティスト・コレクティブです。 人間の自然との関わりや風土の中で生まれ育つ生活様式・価値観など、およそ人間と人間の生活に関わる総体を広義の「文化芸術」と捉え、その文化芸術を通じ、芸術文化の振興と地域社会の発展、新たな枠組み・価値観の創出を目的とします。また、その担い手となる人材の育成、ネットワークづくりを目的とします。 地球環境が急速に変動し、作り手が担う役割が問われている現代において、安芸高田市の空き家を思想的実験・実践の場として活用するための方法について、多種多様な論考と実験を重ねています。
Members
01
内野 康平
Kohei Uchino

広島・福岡・種子島など西日本を中心に、住宅・店舗の版築やリノベーション、プロダクトデサイン、まちつくり、オーダー家具や店舗什器・造設工事など、幅広く手がけている。現在九州大学芸術工学科デザインストラテジー専攻在学中。
02
内野 いずみ
Izumi Uchino

福岡・東京とパッケージデザイン事務所に勤務後、鹿児島県種子島に移住。デザイン事務所「案図舎」を立ち上げ、パッケージに限らず日本中の様々なデザインをしてる。JPDA(日本パッケージデザイン協会)会員。
03
近藤 有季
Yuki Kondo

広島を拠点に、アートディレクター/デザイナーとして、主に企業ブランディングや商品・サービスの開発・PR・販売促進などに従事。新規事業創出やプランディング、Webサイトの制作やデザインマネジメントまで。クライアントの課題に奔走しながら様々なプロジェクトを支援している。
04
福田 惠
Megumi Fukuda

大学終了後ドイツに留学。ベルリンを拠点に様々な国際文化交流事業に︎作家として選出される。国内外での個展、グループ展、レジデンス招聘多数。現在、広島を拠点に芸術文化を担う次世代の教育活動にも携わりながら、表現媒体や分野にとらわれず、記憶、場の固有性と密接な作品を手がけている。
05
藤井 宏水
Hiromi Fujii

設計事務用にて文教施設やオフィス等の知的創造空間の設計を専門とした実績に携わった後、国際交流プロジェクトや建築・アート・デザイン分野のブログラムの企画・広報として活動。展覧会、クリエイター・イン・レジデンスなどを通した、クリエイターの実験的な創作活動のサポートや発表批評の「場」づくりを継続的に行う。
06
本間 美穂子
Mihoko Honma

デザイナー・アートディレクターとして、企業ブランディングや新規サービス開発を主な領域として東京を拠点に活動。対象の中心へと掘り進めることによって見出される潜在的な価値を、言語化・ビジュアライズの両面からじっくり育て、実直に伝えていくデザインアプローチを行っている。